金属床・目立たない入れ歯
- HOME
- 金属床・目立たない入れ歯

残った歯を守る、よく噛める入れ歯

万が一歯が抜けてしまった場合、抜けた歯が1~2本と少なければ、両隣の歯を削ってつなぐブリッジや、インプラントで治療を行います。
しかし、多くの歯が抜けてしまったり、残った歯がぐらついている場合は、入れ歯(義歯)を作ることになります。義歯とは、人工の歯が付いた取り外し式のプレートで、残った歯に針金などで引っかけて固定する治療法です。保険適用の場合、歯ぐきに当たるプレートの部分はレジンと呼ばれるプラスチックで作り、歯に留める装置は金属で作ります。
入れ歯の弱点
違和感

入れ歯の最大の弱点は、口の中に大きなプレートを入れるため、違和感が大きいことです。噛む力は非常に強く、その人の体重ほどあるといわれています。この大きな力を柔らかい歯ぐきで支えるためには、力を広い範囲に分散させる必要があり、プレートをできるだけ大きくする必要があります。また、プラスチックは柔らかいため、壊れないようにプレートを厚くする必要もあります。このため、口の中が狭く感じられ、慣れるまでは違和感を覚えたり、舌が動かしにくくてしゃべり辛いことがあります。
残った歯を傷めやすい

部分義歯の場合、長く使っていると、残った歯を傷めやすくなります。噛む力は非常に強いのですが、プラスチックは柔らかいため、噛むと義歯が、わずかですがたわんで変形し、義歯を支えている歯が横から揺さぶられます。歯は横からの力に弱いため、噛むたびに長い間揺さぶられ続けると、やがて残った歯にダメージがたまってぐらつき、抜けてしまうことがあります。
歯が抜けると、その部分を補うために作り替えが必要となり、義歯は小さい方が違和感が少ないのですが、長い間にだんだん入れ歯が大きくなっていくこともあります。
金属床の特徴

これらの問題を解決するために、義歯のプレート部分を丈夫な金属で作った「金属床(きんぞくしょう)」があります。金属は丈夫なため、プレート部分の厚みがプラスチックの1/6以下の薄さになります。これにより、口の中が広くなって違和感が少なくなり、舌の動きを邪魔せず、会話もスムーズに。
また、プラスチックの義歯では、噛む力によってプレートがたわみ、あごの粘膜を圧迫して靴ずれのような痛みが生じることがあります。しかし金属床では、強固な金属の土台が噛む力をしっかりと受け止めるため、痛みが出にくく、自分の歯のようにしっかりと噛めます。
さらに、プラスチックの義歯は落としたり、固いものを噛むと割れてしまうことがありますが、金属は強度と耐久性が高いため壊れにくく、長持ちします。また、針金もフレームと一体になっているため、外れることがなく、誤飲の予防にもなります。
残った歯を守る金属床

金属床の最大の利点は、金属が丈夫で変形しにくいため、義歯を支えている歯を揺さぶってダメージを与えないことです。また、金属床はプラスチックの義歯と比べて噛む力をしっかりと支えるため、残っている歯の負担が軽くなり、これ以上歯を失うリスクを低減します。結果として、残った歯が長持ちし、義歯自体を長期間使用できるというメリットも。
温度をしっかり感じられる

プラスチックは熱を通しにくく、食べ物の温度が顎の粘膜に伝わりにくいため、味を感じにくくなります。ですが、金属は温度を伝えやすく、食べ物や飲み物の温度をしっかり感じられるため、美味しさをより感じやすくなります。
薄くて軽くて丈夫

金属床のプレート部分には、人工関節にも使われるコバルトクロムやチタンといった生体親和性の高い金属を使用します。特にチタンは、より丈夫で薄くて軽く、金属アレルギーにもなりにくい材質です。
針金が目立たないノンクラスプデンチャー

右:ノンクラスプデンチャー
保険適用の部分義歯(デンチャー)は、残った歯に針金(クラスプ)を引っかけて固定しますが、前歯などではこのクラスプが目立ってしまうことがあります。「ノンクラスプデンチャー」は、この留め金(クラスプ)を歯ぐきの色に似た半透明のプラスチックで作るため、目立ちません。
ただし、プラスチックは柔らかくて変形しやすいため、義歯のすべてがプラスチックだと、歯ぐきに痛みが生じたり、残った歯の負担が増して、義歯を支える歯が抜けやすくなることがあります。
そのため当院では、残った歯を保護し、義歯を長持ちさせるために、目立ちやすい部分はプラスチックで作り、内側は丈夫な金属で補強した、学問的にも推奨されている金属床併用タイプのノンクラスプデンチャーをお勧めしています。
インプラントを使った義歯

入れ歯を長く使っていると、義歯のずれや変形により、顎の骨が徐々に削れていきます。その結果、義歯と歯ぐきの間に隙間ができ、空気が入って外れやすくなります。特に、下あごの骨が平らになってしまうと、入れ歯が口の中で不安定になり、非常に噛みにくくなります。このような場合、少数のインプラントを入れて義歯を固定し、安定させる方法があります。
金属床、ノンクラスプデンチャー、インプラントを使った義歯は保険外治療となりますので、詳しくはカウンセラー等にお問い合わせください。
義歯の特徴と価格
名称(素材) | 特徴 | 審美性 | 耐久性 | 保険 | 保証 | 費用(税込) |
---|---|---|---|---|---|---|
レジン床(歯科用プラスチック)
![]() |
|
△ | × | 〇 | – | 保険適用 |
コバルトクロム合金
![]() |
|
〇 | ◎ | × | 5年 | 385,000円~ |
チタン
![]() |
|
〇 | ◎ | × | 5年 | 462,000円~ |
ゴールド
![]() |
|
△ | 〇 | × | 5年 | 550,000円 |
ノンクラス プデンチャー ![]() |
|
◎ | 〇 | × | 5年 | 187,000円~495,000円 構造・材質によって価格が異なる |
※金属の種類、装置、設計により費用が変動することがあります。
※全て税込価格です。
※2024年8月現在の料金です。
※以下のような場合は、保証対象外になる場合がございます。
(1)患者様の不注意や不慮の事故など、明らかに当院の責任でない場合(定期検診にご来院いただいていないなど)
(2)診療時にまったく予期し得なかった口腔状態の急な変化による場合
(3)当院の指示に従わない状態での使用による場合
義歯を長持ちさせるためには

入れ歯の痛みの多くは、義歯がずれて動いたり、噛み合わせが不均等なことによって生じます。入れ歯は歯の部分もプラスチックでできているため、長期間使用していると歯がすり減り、噛み合わせが変化します。これにより、位置がずれて痛みが出やすくなったり、顎の骨が痩せてゆるみやすくなったりします。そのため、大きな問題がなくても、1~2年に一度は歯科医院で調整を受けることが大切です。
無理に使い続けると…
合わなくなった入れ歯を無理に使い続けると、顎の骨の吸収が進み、義歯を新しく作り替えてもなかなか合いにくかったり、外れやすくなったりします。少しでも痛みや緩みを感じた時点で早めに調整することで、義歯を長く使い続けることができます。
臭いや衛生…
入れ歯のプラスチック部分は唾液を吸収するため、長く使っているうちに臭いがついたり、不衛生になったりします。消毒効果のあるスプレーで洗浄したり、週に2、3回は夜間に洗浄剤に漬け置きすることで、長く清潔に使用できます。
虫歯や歯周病
部分入れ歯の場合、残った歯との間に汚れが溜まりやすく、義歯を支える歯が虫歯や歯周病になりやすくなります。そのため、食後はできるだけ義歯を外してよく洗い、残った歯も丁寧に磨くことが重要です。また、歯科医院で定期検診を受けることで、これ以上歯を失うことなく、義歯を快適に長く使用することができます。