口呼吸

ホントは怖い口呼吸
お口ポカンの危険性

ホントは怖い口呼吸

最近、夜間の口呼吸を予防する口テープがドラッグストアで販売されるなど、話題となっている口呼吸ですが、 実は、お口がぽかんと開いていることは、見た目が悪いだけでなく、全身の健康にもさまざまな影響があります。

口呼吸とは

口呼吸とは

生まれたばかりの赤ちゃんは鼻で呼吸しています。つまり、人間は本来、鼻で呼吸するようにできているのです。しかし、成長の過程でさまざまな原因により、口呼吸になってしまうことがあります。

口と鼻では、口の方が大きく息を吸ったり吐いたりできるので、走った後など酸素が足りないときに、一時的に口を開けて大きく息をすることは問題ありません。

ただし、いつも口が開いていたり、意識している時は口を閉じていられても、気を抜いた瞬間やテレビやゲームに集中している時についつい口が開いてしまう方は、習慣的に口で呼吸をしている可能性があります。

この口呼吸は、近年、子どもの歯並びが悪くなる原因の一つとして注目されていますが、その他にも、風邪をひきやすい、アレルギーや喘息などの病気にかかりやすい、集中力が低下して、スポーツや勉強で力を発揮しにくくなる、睡眠時無呼吸症候群になりやすいなど、全身の健康にもさまざまな影響があるといわれています。

口呼吸と鼻呼吸

口呼吸のデメリット

口呼吸と鼻呼吸/口呼吸のデメリット

口で呼吸していると、細菌やウィルスの混じった冷たく乾いた空気が直接体内に入ってしまいます。肺は温かく加湿された空気でないと十分に機能を発揮できないため、風邪をひきやすくなります。

また、体内に汚れた空気が入り続けると、免疫反応が過剰に働き、疲れやすくなったり、アレルギー反応が起きやすくなります。その結果、ぜんそくやアトピーなどの免疫系の病気にかかりやすくなります。

鼻呼吸のメリット

口呼吸と鼻呼吸/鼻呼吸のメリット

鼻には、鼻毛や鼻の奥にある副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる空洞で、吸い込んだ空気中のホコリや細菌、ウィルスを除去する浄化機能があります。また、空気は鼻腔を通る間に温められ、加湿されます。このように、鼻は高性能な空気清浄機と加湿器の役割を果たしているのです。

体の中の二酸化炭素への影響

コーラなどの炭酸飲料を見ているとわかるように、二酸化炭素は常温では液体からどんどん揮発して空気中に逃げていきます。二酸化炭素は呼吸の調節に重要な役割を果たしているため、体の中で一定量を保つ必要があります。たとえば、血液中の二酸化炭素が少なくなると、息がしにくくなり、過換気症候群になることがあります。しかし、紙袋に吐いた自分の息を再び吸って、二酸化炭素を体に戻せば、呼吸は正常になります。

鼻呼吸をしていると、血液中の二酸化炭素の濃度が適切に保たれるため、呼吸のペースが正常になります。その結果、肺から取り込まれた酸素は血液を通じて全身の細胞にスムーズに供給され、体温や体の機能が安定します。

しかし、口呼吸をしていると、換気量が多くなり、二酸化炭素が体外に逃げやすくなります。これにより血中の二酸化炭素濃度が下がり、呼吸のペースが乱れます。その結果、血液から細胞へ運ばれる酸素の量が減少し、体の機能が低下して低体温や過呼吸、酸欠になりやすくなります。

そのため、脳はアドレナリンを分泌し、体に「シャキッとしろ」と指令を出しますが、アドレナリンの副作用でそわそわして落ち着きがなくなり、怒りっぽくなります。また、酸素が不足すると脳や体の成長や能力の発揮にも影響を及ぼします。

姿勢や外見、睡眠への影響

口呼吸は姿勢にも影響を及ぼします。常に口が開いていると、舌の位置が下がり、気道を塞ぐため空気が入りにくくなります。これにより、少しでも呼吸を楽にしようと、顎を上げて気道を広げるために猫背になることが多いです。
また、舌の筋肉が下がると、二重あごや首のたるみの原因にもなります。さらに、夜間に舌が気道を塞ぐことで、いびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群になりやすくなります。

口の中の問題

口呼吸をすると口の中が乾きやすくなりますが、唾液には口の中の洗浄や免疫などの重要な役割があります。そのため、口の中が乾くと唾液の自浄作用が働かず、歯肉炎やむし歯、歯の着色や口臭が起きやすくなります。

歯並びへの影響

歯がきれいに並ぶためには、正常なあごの成長が必要です。あごの成長に重要なのは、正しい舌の位置です。安静時に舌が上あごに接触していることで骨に軽い圧力がかかり、成長が促進されます。そして、舌の周りを囲うように歯が生えそろうことで、きれいなアーチ状の歯列が完成します。しかし、口呼吸の子どもは舌が上あごに触れないため、あごの骨の成長が不十分で狭くなり、永久歯がきれいに並びません。
口呼吸が歯並びに与える影響について詳しく知りたい方は、「予防矯正・マイオブレイス」をご参照ください。

予防矯正・マイオブレイス

口呼吸の原因

授乳時

口呼吸の原因

授乳時の姿勢や抱っこの仕方、正しくない形の哺乳瓶の使いすぎなどで赤ちゃんの鼻が塞がれ、鼻で呼吸しにくい状態が続くと、口呼吸になりやすくなります。生後1年以内に口呼吸の癖がつくと、その後も口呼吸が続くことが多いと言われています。

乳幼児期

乳幼児期

乳幼児期に柔らかい離乳食を長期間続けたり、ハイハイを十分にさせずに歩行器を使って急いで歩かせようとすると、口を閉じて舌を正しい位置に保つための口周りや舌の筋肉が発達しにくくなります。
また、子供は親の表情を真似するため、親が口呼吸をして口が開いていると、子供もそれを真似することがあります。

その他

その他

慢性的な扁桃腺の腫れや花粉症、ハウスダストによるアレルギー、鼻中隔湾曲(びちゅうかくわんきょく)症などの病気も、鼻で呼吸するのが難しくなり、口呼吸を誘引することがあります。
実際、近代化や工業化、都市化によって呼吸の問題が増えていると言われています。研究によると、1950年代生まれよりも1990年代生まれの方が、また農村よりも都市部の方が口呼吸が増え、アレルギーやぜんそく、歯並びの乱れなどの問題が増加していることがわかっています。

呼吸が人に与える影響

呼吸が人に与える影響/口呼吸の人

口呼吸の人

口呼吸をする人は、姿勢が悪く、胸や肺が圧迫されて浅い胸式呼吸になります。浅い呼吸では、肺に十分な量の空気を取り込むことができず、細胞に酸素が十分に届かない状態になります。これにより免疫力が低下し、病気になりやすくなります。
さらに、姿勢と全身の血行が悪くなるため、冷え性になることもあります。また、浅い胸式呼吸ではお腹の筋肉を使わないため、お腹周りに脂肪がつきやすく、太りやすい体質になってしまいます。

呼吸が人に与える影響/鼻呼吸の人

鼻呼吸の人

鼻呼吸は気持ちを落ち着かせ、安定した精神状態を保ちます。鼻呼吸をする人は、普段から姿勢がよく、ゆっくりとしたペースで横隔膜を使った深い腹式呼吸をしています。深く長い呼吸は副交感神経を優位にし、神経をリラックスさせて集中力を高めます。
また、体の細胞のすみずみに十分な酸素が行きわたり、元気で免疫力も高まります。さらに脳細胞も活性化されるため、学ぶ力が向上し、勉強やスポーツでも力を発揮しやすくなります。

口呼吸の子どもの特徴

  • 姿勢が悪く、猫背になりがち。
  • 硬いものが食べにくい、または苦手。
  • 食事中にクチャクチャと音を立てる。
  • 「サ」「タ」「ナ」行の発音が苦手で、滑舌が悪い。
  • 風邪をひきやすい。
  • 口を閉じると、あごに梅干しのようなシワができる。

※これらの症状がすべて当てはまるわけではありません。

口呼吸を改善すると

口呼吸を改善すると

歯並びやかみ合わせが良くなります。

口呼吸を改善すると

風邪を引きにくくなり、健康な身体を維持できます。

口呼吸を改善すると

スポーツや勉強で力を発揮しやすくなります。

口呼吸を治すには

口呼吸を治すには

お子様が常に口を閉じていられず、口呼吸になってしまうのは、口の周りの筋肉や舌の力が弱いことが一因です。成長期のお子様の口呼吸を治し、将来的な歯並びの乱れや全身の健康に対する悪影響を予防する方法として、5~8歳頃に舌や頬などの口周りの筋肉の機能を改善する筋機能矯正という治療法があります。当院では、その一環として『マイオブレイス治療』を取り入れています。
くわしくは「予防矯正・マイオブレイス」のページをご参照ください。

予防矯正・マイオブレイス